研究概要 |
二台のレーザレンジファインダ(測域センサ)を車椅子の前後に取り付けることにより,前後360度の距離情報を取得できるようにした.次に,計測した環境計測データに基づいて,速度指令ジョイスティックのインピーダンスを変化させた.搭乗者がジョイスティックを倒そうとする方向の障害物との距離及び車椅子の速度成分からジョイスティックのインピーダンスを決定することにより,障害物のある方向に対してのみ移動指令を出すことが困難になる.さらに,測域センサの回転機構を製作し,三次元で障害物認識が可能であることを確認した.これによって,従来上下方向で形状変化のある対象物に対応できなかった問題点が解消される. また,全方向移動機構を再検討し,乗り心地向上,段差対応可能な通常のタイヤを用いた機構を開発した.本機構では,ギアの配置を工夫することによって,並進時・旋回時いずれにおいても,モータの出力を有効に利用することが可能である.オムニホイールを用いて全方向移動を実現していた際に問題となっていた走行性能が通常タイヤを使用することによって向上した.この新機構の車椅子においても,介助モードが実現可能であることを確認した. さらに,ジョイスティックの操作性を向上させるために,再設計・製作を行うとともに,モード切り替え機能を取り入れることにより,通常走行・全方向走行の両モードを選択できるようになった.操作者の好み・動作の必要性に応じて切り替えることが可能である.
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