研究概要 |
全方向移動機構を再検討し,簡単な構造で乗り心地向上,段差対応が可能な通常のタイヤを用いた機構を開発するとともに,消費エネルギーの計算を行うことで設計指針を示し,提案手法の有効性を確認した,また,従来の駆動方式を見直し,これまで発生していた操舵動作時の軌道誤差を低減した.従来,全方向移動車椅子の厳密な動作解析はあまりされていなかったが,この研究により理論的にも有効性を示すことができた. 次に,このアクティブキャスタを四輪装着した全方向移動車椅子の走行試験を行い,平地のみならず不整地においても一般的な市販の電動車椅子以上の走破性能を持っていることを確認した.従来の全方向移動車椅子は,狭所移動能力は高いものの平地でないと移動が困難になるという問題点があったが,提案した全方向移動車椅子はこの点でも優位性がみられるため,より一層屋外等への適用も容易であることが示された. さらに,多様な障害物の回避を可能とするため,測域センサに回転機構をつけた三次元障害物認識システムの問題点を検証した、従来の方法は環境地図作成を目的とする場合には有効であったが,センサの走査時間が長くかかってしまうため,実時間での障害物回避は困難であった.そこで,センサを一定角度で傾ける方法および一定角度搖動させる方法を検証した.現時点では基礎実験のレベルではあるが,処理時間の大幅な短縮が確認できたので,今後のセンサシステム改良のための方針を確定することができた.これにより,一層提案システムの実用性が高まった.
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