研究概要 |
本研究では,CAM, NC加工シミュレーション,CNC装置,工作機械の垣根を取り払い,CNC装置の最終位置出力であるサーボデータを中心に誤差の予測補正制御を行うことで,さらなる高速高精度加工を実現する加工システムの開発を目的としている.本年度は切削力の予測補正精度向上と基本システム構築手法の検討を行った.具体的に平成21年度は以下の事を実施し,提案するシステムの有用性が示されたが,一方で新たな検討課題も明確になった. (1)削力の計算式を最新の素材,工具に合わせるための加工実験とデータ取り 切削動力計をレンタルし,除去体積と切削力の関係を加工実験により求め,数式化した.これによりNC加工シミュレーションで切削力の予測が可能となった. (2)NC加工シミュレーションにおける切削力の計算精度の高精度化 切削力については加工実験により高精度な予測式を得られたが,切削方向については実験と一致しなかったため,今後の検討が必要である. (3)工作機械の運動特性の予測と補正手法の構築(工具たわみの予測補正) 工作機械の運動特性としてステックモーション特性の予測を試したが,高精度に測定するには高価な測定器が必要であることがわかった.このため,工具のたわみの予測補正に内容を変更して実施した結果,単位時間あたりの切削除去体積を制御することでたわみを低減できることが明らかになった. (4)システム統合手法の検討 NC加工シミュレーションの統合のため,切削により生じる工具たわみを試行的に反映させた.組み込みは成功し,シミュレーション後の形状にたわみの誤差が測定できるようになった.
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