研究概要 |
平成22年度においては,以下のように検討した。 平成21年度に開発したゲート信号生成回路を実験用インバータに実装して,その評価を行ない,従来の回路との比較実験を行った。その結果,出力可能なパルス幅の制限が従来の半分以下にできるだけでなく,それ以下のパルス幅が入力されてパルスが欠損してしまうような状況でも数パルス間の平均として出力電圧を制御可能なことを実験により確認した。このような機能を持ったデッドタイム補償法は筆者らの知る限りなく,インバータの出力可能な電圧範囲を拡大することに貢献する。また,開発したデッドタイム補償法は従来の方法と比較して,入力信号に対するインバータ出力電圧の位相遅れが小さいことも,大きな特長である。このことは,インバータにおける無駄時間が減収することを意味し,システムの制御性向上に寄与するものと考える。 もう一つの研究目標である次世代デバイスを用いた場合のノイズ低減を実現するために,研究代表者が先に提案しているアクティブコモンノイズキャンセラ(ACC)を実験用インバータの仕様に合わせて設計した。この際スイッチング周波数を従来のIGBTインバータの10倍程度高い100kHzにしているため,使用するコモンモードトランスは1/10程度に小型化できる。平成22年度中に基本設計を終了し,平成23年度にはACCの製作ならびに,試作インバータに製作したACCを組み合わせた場合ノイズ評価を行い,その有用性を検討する予定である。
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