平成23年度は全体システムの高効率化のために、電流が通過する半導体変換素子数が少ないハーフブリッジインバータや倍電圧整流回路が有効であることを確認した。 また、駐車位置が給電可能範囲内か否かを、給電トランスの磁極に設置したサーチコイルで判別する手法を考案し、実験でその有効性を確認した。 さらに、コア損失を無視した場合の最大給電効率がコイルのQと結合係数kの簡単な式で表現できることを明らかにし、磁気共鳴方式(SS方式)と電磁誘導方式(SP方式)の最大給電効率が同じになることを示した。 平成23年9月に琉球大学で開催された電気学会産業応用部門大会では、電気自動車のセッションで研究代表者が「電気自動車用非接触給電の技術動向]について依頼講演を行った他、本研究の成果の一部を発表した大学院学生山中智裕が優秀論文発表賞を受賞した。 同月米国Phoenixで開催されたIEEE ECCE2011では論文発表を行うと共に、海外の研究者と意見交換を行い、実用化に向けた各国の動向を知ることができた。 本研究では非接触給電トランスの磁界構造として従来の円形コア片側巻トランスではなく、角形コアあるいはH型コアの両側巻トランスを用いる点に特長がある。一昨年にはこの分野で世界をリードしてきたニュージーランドのオークランド大も我々と同じ磁界構造に方針変換したこと、また磁気共鳴方式で有名な米国MITのグループも特許では我々と同じ磁界構造を採用していることが明らかになってきた。この結果、本研究の重要性が国内外で広く認められるようになってきた。
|