研究概要 |
平成23年度の研究実績は以下の通りである. 1.高温超伝導(HTS)バルクの応用回転機実用化に向けての問題点として挙げられる変動磁界環境下でのHTSバルクへの影響について,前年度に引き続きデータ収集を行った.回転機特有の変動磁界環境下で測定を行うことができる模擬試験装置を使用し,回転駆動時の問題の一つとして挙げられる高調波成分を含んだ変動磁界がHTSバルクの捕捉磁界へ及ぼす影響について交流損失の観点から検証を行なった.測定結果より,変動磁界下でのバルクへの影響について一定の影響がある見通しを得ることができた.さらに別の変動磁界の問題として,ローター回転時の移動磁界(回転磁界)による影響についても検証を行った.この検証については,使用した測定法の精度の問題もあり,十分な検証結果を得るに至っておらず不十分な結果となったが,次の目標への方向性を示すことができた. 2.実験モデルの修正を考慮した回転機モデルに基づいて解析ツールの改良を行いバルク応用回転機モデルの磁界解析を行った.この解析ツールを使用して,バルク回転機の変動磁界環境下による影響について,これまでの測定結果と比較検討を行い,実験結果とある程度の妥当性を得られたと考えられる. 3.前年度を含めたこれまでの結果をまとめ,バルク応用回転機の変動磁界による影響を低く抑えるためのシールドコイルの効果および構成法などを考慮した最適設計法の検討ができた.さらに,回転機特有の変動磁界の影響を考慮した設計法の見通しを得た. 上記の研究成果をオランダ・デンハーグで行われた第10回欧州超伝導応用会議(EUCAS2011)において発表を行い,この分野の研究者達とディスカッションし情報交換を行った.また,国内の関連学会(低温工学・超電導学会)においても研究者達と意見交換を行い,いくつかの問題点等を見出すことができ,新たな課題を見つけることができた.
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