落雷によるフラッシオーバ率を求める際に重要な、第一雷撃と第二雷撃の電界波形の波頭長と波高値の相関係数を求めた。電界波形の波頭部に関しては、電流波形と相似になることが知られていることから求めた相関係数はそのまま電流波形に適用することが出来る。界雷あるいは熱雷といった雷の発生要因や陸上あるいは海上といった落雷点の性状は、第一雷撃と第二雷撃の波高値と波頭長の相関係数には大きく影響せず、第二雷撃が第一雷撃と同じ雷道を通るか否かにより特に波頭長の相関係数は大きく異なることが明らかになった。波高値の相関係数はいずれの場合も0.6程度であるが、波頭長の相関係数は第一雷撃と第二雷撃の雷道が異なる場合には0.6程度に対して、第一雷撃と第二雷撃の雷道が同一の場合には0.1程度の小さい値になった。雷道が同一の第二雷撃では第一雷撃の波頭長が大きい場合でも波頭長が短い第二雷撃が発生するのに対して、雷道が異なる第二雷撃では第一雷撃と似たような性状を有し、平均で80%程度の値になるため、このような大きな相違になった。電流波形の直接測定を定点で行い帰還雷撃電流波形パラメータを求める際には、雷道が異なる第二雷撃は観測されないため、雷道が同一の第二雷撃のパラメータのみが得られるので、得られたパラメータをそのまま用いてフラッシオーバ率の評価を行うことが出来る。これに対して、落雷位置標定装置など電磁界観測から帰還雷撃電流波形パラメータを推定する際には、雷道が異なる第二雷撃も観測されることになるため、雷道の同一性に着目してパラメータを分類して、フラッシオーバ率を求める必要がある。雷道が異なる第二雷撃は、性状の類似性や雷撃点が異なることから過電圧の発生機構が異なるため、便宜上第一雷撃に分類する方が妥当である。
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