研究概要 |
交流/交流直接電力変換および周波数変換を目的とした大容量電力変換器として,モジュラー・マトリックスコンバータ(MMxC)を検討してきた.MMxCは,単相フルブリッジセルを双方向スイッチとして用い,それらをモジュールとしてカスケード接続することによってマルチレベル化・大容量化を可能とする特徴を持つ.これまで2段のセルで構成されたMMxCを対象とした制御法を検討してきたが,平成23年度はn段の構成に拡張可能な制御法を検討した.まず,n段のセルで出力可能な瞬時空間電圧ベクトルを適切に選択する手法に基づいた有効・無効電力制御法を提案した.次にセルのキャパシタ電圧の平衡制御について,(1)全セルのキャパシタ電圧平均値一定制御,(2)各相間にカスケード接続されたセルのキャパシタ電圧の合計値一定制御,(3)カスケード接続されたセル間のキャパシタ電圧平衡制御,の3つの方法を提案した. これらの提案制御方法を,異配電系統を連系する,3段のセルで構成されたMMxCのモデルに適用し,回路シミュレーションを行うことによって,十分な有効・無効電力制御性能とセルのキャパシタ電圧の平衡化性能があることを確認した.また,マルチレベル化,および提案した電力制御とキャパシタ電圧平衡制御によって,電圧および電流の総合ひずみ率が低減し波形が改善されることを示した.さらに商用周波数60Hzから極低周波である1Hzへの周波数変換性能も確認できた. 一方,実験装置として9個の単相フルブリッジセルによって構成される1kVA級のMMxCを,DSPおよびFPGAによる制御系を含めて製作し,その基本的動作を確認した. これらの成果は,電気学会全国大会,産業応用部門大会をはじめ多くの学会にて報告している.
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