本研究は、非線形電磁界解析におけるトータル的な高速化と低コスト化を実現するために、アイソパラメトリック辺要素の開発と、その実用化を目的としている。そのために、要素面の不整合に対して、磁束分布などの連続性を考慮した手法を開発する。電気機器などの非線形問題に適用し、従来法との比較によってその有効性を実証し、実用化を目指す。 本年度は、辺要素の辺や面の次数に粗密を付けたアイソパラメトリック辺要素の開発をおこなった。詳細は以下の通りである。 1) まず、任意形状のモデルに対応可能な四面体辺要素の多項式空間の構造を明らかにし、高次辺要素の開発を行った。コーディングの後、空胴共振器の固有値問題に適用し、スプリアス解が発生しないことを確認した。 2) 次に、比較的精度の良い格子構造に対応した六面体辺要素の多項式空間の構造を明らかにし、高次辺要素を開発した。コーディングの後、これを空胴共振器の固有値問題に適用し、スプリアス解が発生しないことを確認した。 3) これらの要素はそれぞれひとつの次数パラメータによって管理されているため、接続において融通性がない。そこで、要素の点、辺、面、および体にそれぞれ次数パラメータを配置し、各々には単一次数要素の形状関数を適用した高次アイソパラメトリック要素を開発した。これによって、ひとつの要素が多数の次数パラメータを持つことになり、適用の自由度が飛躍的に増加することを確認した。 4) これらの要素を渦電流解析のベンチマーク問題に適用し、解析精度の安定性を確認した
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