研究概要 |
平成22年度では,(1)家庭用燃料電池発電システムの実験機モデルを構成すること,(2)余剰不足電力発生をシミュレーションにより確認すること,(3)経済性を検討するために家庭の電力消費の標準的なモデルを調査・確立すること,が主たる研究予定項目であった。 上記(1)については,完全な完成には至らなかったが,1線接地可能なDC/ACインバータを提案し,その有効性を明らかにした。我が国の家庭用電力は単相三線式で配電されるため中性線を接地できる必要がある。そこで,単相半波ブリッジにパワーデカプラ機能を付加し,これまで提案されているDC/ACインバータに比べ直流キャパシタ容量を大幅に低減可能であることをシミュレーションと実験により明らかにした。をさらに,家庭用燃料電池発電システムの実験機モデルを構成する際に内部抵抗を模擬可能なEDLCシミュレータを構成し,静電容量および内部抵抗を可変できることを明らかにした。シミュレーション結果および実験結果から1000μFの電解キャパシタを用いて,0.1Fでかつ2Ωの内部抵抗を有するEDLCを模擬できることを明らかにした。(2)については理論的検討およびシミュレーションによる検討を完了することができた。さらに,(3)については電力中央研究所や建築学会および東京電力から調査・研究結果がWebにより,公開されており公開データを用いることで当初目的に関する調査を終了できた。このとき,燃料電池を家庭用として使用する際に,熱利用としての効率の高さが注目されているが,この排出される温水がむしろ家庭で使用できる燃料電池の規模を制限してしまうことについて定量的に明らかにすることができた。
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