研究概要 |
平成22年度は、従前から研究代表者が独自に設計開発・試作してきた「電力状態観測用樹脂一体型電圧電流センサ」を用いた実用規模の電力状態計測系を構築するために、平成21年度から続行していたカットコアを用いた集電コイルを再考して、コア部に関し、リング型フェライトコアを設計・製作し、計測系への間接集電の際の電磁騒音を減らすことができた。上記の間接集電方法の可用性に関する成果に関しては、カットコア集電コイルを用いた計測系コンピュータならびに計測回路駆動用電源の実証、インターネットを介した電圧・電流波形計測・配信システムのプロトタイプの実装例を電気学会論文誌基礎・材料共通部門誌(2011年4月号)に掲載することができた。また、計測系の操作設定環境をネット接続されたPCだけではなく、計測地点でも容易に調整できるようにするために、近年、話題のAndroidOSが動作するCPU (Super-scalar ARM Cortex TM -A8)を搭載した高性能ボードコンピュータを導入し、リアルタイム計測ならびに計測データのネット配信の可能性について調査研究に取り掛かり、次年度である平成23年度に繋ぐことができた。 さらに、上記センサの電圧波形検出分が三相配電系相間の高電圧の影響で位相ずれを起こすことが従前から懸念されていたが、本年度では、フィールド試験で用いたキャパシタ分圧計測回路を考慮した電界解析を実施した結果、無視できるほどの位相ずれしか起こらず、さらに、より実配電系に近い上述モデルで再計算した電界強度から、従前の6.6kV系樹脂一体型電圧電流センサであっても22kV配電系への絶縁耐圧を満たすことが数値的証明することができた。本成果も上記電気学会論文誌(2011年3号)に掲載され,高い評価を得ることができた。
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