研究概要 |
本研究の目的は,申請者が提案したバッテリ-電気二重層キャパシタ直列方式の回生エネルギー吸収回路をバッテリではなく燃料電池を電源とするシステムに適用することで,電気自動車などに用いられる永久磁石同期電動機駆動システムの効率を高めることである。 本年度は,燃料電池スタックの購入,水素ボンベ,水素ガス流量測定器,水素ガス検知システムの導入等により,燃料電池を用いた実験を行うための準備を行った。ここで,本年度は,実験の行いやすさ,コスト等を考慮して,水素吸蔵合金ではなく,水素ボンベからレギュレータを通して燃料電池スタックに接続する構成でシステムを構成し,以下のことを明らかにした。 1. 燃料電池の出力特性の調査 燃料電池スタック(300W,新規購入)の電気的特性について調べ,今後,本研究に使用する燃料電池等価回路について検討を行った。購入の燃料電池スタックは,コントローラに電流リミッタが内蔵されており,12Aで電流制限がかかるものの,12A以下の電流範囲では,ほぼ直線的な電圧-電流特性となり,等価回路的には一定の出力インピーダンスを持つ電源で模擬できることがわかった。 2. 燃料電池の最適な動作点の検討 燃料電池スタックをいろいろな動作点において運転し,その電気的な特性について調べた。各動作点における水素流量の測定を行い,水素流量と出力との関係を明らかにした。 3. 実験システムの基本設計 回路およびシステムについての基本設計を行った。コンデンサやリアクトル等の定数を大まかに決定し,決定した定数を用いて回路シミュレータPSIMによるシミュレーションにより,動作の確認を行った。このシミュレーションについては,現在も継続中である。 今後,さらに具体的に絞り込んだ定数に対して,運転方法,制御方法に関する検討を進めていく。
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