研究概要 |
本研究の目的は,提案したバッテリー電気二重層キャパシタ直列方式の回生エネルギー吸収回路を燃料電池を電源とするシステムに適用することで電気自動車などに用いられる永久磁石同期電動機駆動システムの効率を高めることである。 最終年度である本年度は,昨年に引き続き実験システムの製作から始めたが,提案システムの電動カートへの実装にあたり,サイズの点で,モータの位置センサを取り外さざるを得なくなり,駆動に位置センサレス制御を用いることを余儀なくされた。結果として,予定ではシステムを電動カートに実装して,種々の状況下での走行試験を行うことにしていたが,走行試験を行うに至らなかった。以下に本年度の状況について整理する。 1.実験システム製作及び基本動作の確認 昨年に引き続き,実験システムの製作を行い,提案システムの基本動作を確認した。なお,本システムの基本的な考え方については,電気学会論文誌(後述13.研究発表[雑誌論文]参照)にまとめた。 2.シミュレーションによる新駆動方式の検討 提案する駆動方式の解析を行い定数やパラメータについての確認をするとともに,様々な運転状況に対する回路動作の確認を行った。また,走行パターンを想定した回生,力行の繰り返しについてもシミュレーションを行い,設計したパラメータの妥当性を確認した。この結果については,電気関係学会九州支部連合大会(後述13.研究発表[雑誌論文],[学会発表]参照)で発表した。 3.システムの電動カートへの実装と動作確認 提案システムを電動カートへ実装する際,モータの実装スペースの関係から速度センサを取り外す必要が生じた。これにより位置センサレス制御を行わなければならなくなり,制御系の再検討を行った。この制御が思うようにいかず,現在までのところ,モータを実装した状態での実証試験を行うに至らなかった。今後,早急にこの問題を解決し,実証試験を行う予定である。
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