研究概要 |
本研究では、平成17年度文部科学省研究装置施設整備費の助成を受け、申請者が所属する大学構内に設置された40kW級実用規模風力発電システム、及び研究室内に設置している風力タービン模擬装置を用いて、ハイブリッド風力発電システムの実験的検討を行なうとともに、コンピュータシミュレーションによる理論的検証を実施した。 40kW級風力発電システムは自然風で運転されるため、実際の運転環境における実証試験に適しているが、任意に風速条件を設定した実験を実施することは困難である。このため平成23年度も、前年度に引き続き40kW級実用規模ハイブリッド風力発電システムの運転データを可能な限り蓄積し、これらの諸データを、研究室内模擬装置の構築やコンピュータシミュレーションモデルの解析精度の向上に反映させた。一方、模擬装置およびコンピュータシミュレーションによる検討では、実際の風車では安全上問題となるような極限状態を想定した実験やシミュレーションを行なうことができるため、ここではこれらの研究成果をシステム各部の最適なパラメータの選定に用いた。さらに本年度は、複数台の風力発電機により構成されるハイブリッドシステムのシミュレーションモデルを構築し、シミュレーションによる基礎的な検討を行った。その結果、本研究のハイブリッド方式は、多数台の風力発電機群に対してもシステム出力の安定化に効果的であることが確認され、今後大規模ウィンドファームへの応用が期待される。一方で本ハイブリッドシステムにおいて発電設備の設備利用率を向上するためには、風速変動が大きな条件下での余剰風力エネルギーの回生システムが必須であることが明らかとなった。現在,このための効果的なシステム構成についての検討を開始している。今後これらの解析結果について、実験による妥当性の検討を進める予定である。
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