本研究は『廉価な負荷装置を用いつつも線路損失と電流容量を低減できる三相方形波配電システムの実用化という新たな産業分野を創出する事』を目的としており、初年度(平成21年度)では、 1. 「整流方式と変圧器結線方式の組合せの実験的および理論的な評価」のうち、「キャパシタインプット形ダイオード整流器」と「1次側Δ結線・2次側Y結線の変圧器」の組合せについて 2. 「整流器と三相変圧器の利用率の評価」のうち、「キャパシタインプット形ダイオード整流器」と「1次側Δ結線・2次側Y結線の変圧器」の組合せについて を計画し、実施した。 実験の結果、この整流方式と変圧器結線方式の組合せで初期の目的(整流器負荷の入力側に於ける高い力率とそれに伴う高い効率、および直流出力側電圧の脈動低減とそれに伴う直流平滑化キャパシタの小型化)が実現できる事を実証でき、実験では98%程度の高い力率を得た。 また、理論的解析も行い、実験結果と理論解析結果の良好な一致も確認した。 この実験的・理論的検討では、負荷変動による直流出力電圧の過渡変動も評価した。本システムでは動作周波数を400Hzに上げられる事もあって、直流出力電圧の整定時間は従来の商用電源を用いた場合に比べて著しく短く、負荷の変動による擾乱が小さい事も実証できた。 本システムで用いるインダクタやキャパシタについて、定常状態および過渡状態の双方を考慮しながら適切な定数設計法を検討し、設計指針を明らかにした。
|