研究概要 |
開発するUPSは,電力用半導体スイッチング素子の動作により,出力電圧の昇降圧動作が可能で「単相交流入力→単相交流出力」の直接変換が可能な高効率UPSである。また,電力系統への高調波電流の流入防止,バッテリー充電および電源異常時の出力用インバータの各機能を併せ持つアクティブフィルタ/インバータ回路を併設することで,小形で回路利用率の高いUPSを実現する。 開発するUPSの主回路構成は(1)入力交流チョッパ回路部,(2)出力交流チョッパ回路部,そして(3)アクティブフィルタ/バッテリー回路部より構成され,寿命の短い電解コンデンサや大型で重い絶縁トランスなどは不要である。 本年度は提案した上記特長を有するUPSのデジタル制御によるシミュレーションを行い,以下の有効性を確認した。 (1)高品質の安定した出力電圧を確保するため,停電時にはアクティブフィルタ部がインバータ動作を行い,バッテリーを電力源として安定した出力電圧制御を達成できた。 (2)電源電圧が変動した場合でも入力チョッパ部が昇圧動作を,出力チョッパ部が降圧動作を適宜行い,安定した一定出力電圧の高品質電力を供給できることを確認できた。 (3)(2)を達成するために,本回路は入力から出力をみると昇圧用リアクトル,ノイズ除去用フィルタ,出力フィルタ用リアクトルおよびコンデンサが接続され,LCフィルタが2段接続されている回路構成となり,制御系が高次となり不安定になりやすい。そこで,入力力率制御に出力電力フィードバックによる基本波制御と,電流制御に基づく出力電圧フィードバック制御により安定した制御結果をシミュレーションにより確認した。 (4)アクティブフィルタ回路により入力電流正弦波制御と入力力率98%以上,出力電圧ひずみ率5%以下,出力電圧変動率3%以下を達成した。 以上,UPSの基本制御方式のシミュレーションによる開発を行い,本年度の目的は達成した。
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