研究概要 |
本研究は,静電気放電による火災,爆発,誤作動等の障災害を防止するための基礎的・基盤的研究として,静電気放電現象における着火や誤作動の危険性を高める要因を明らかにすることを目的としている。そこで研究初年度となる平成21年度では,実験の準備期間として,以下の項目に重点を置いた研究を行った。 【放電発生装置の製作】 主に放電電極(球-球,及び針-平板),1軸ステージ,リニアスケール,ステッピングモータ及びコントローラで構成され,放電電極の移動速度(0~300mm/secで設定可能)および放電時の電極間距離(分解能は0.01mm)を実験パラメータとすることができる装置を製作した。これにより,静電気放電が発生する代表的な状況を模擬したモデル実験を,電極間隙長変化法,電圧変化法,充電法によって行うことができるようになった。 【電界計測装置の製作】 静電気放電によって発生する電磁パルス(直流成分から数GHz以上に及ぶ周波数帯領域を有する高速のインパルス)の時間的変化を高分解能で測定するために,DC~1GHzの周波数帯域に対応し,5GS/s(最高値)のサンプル・レートを持つオシロスコープと,100kHz~3GHzの周波数に対応した電界強度測定が可能な光電界センサーを準備し,MATLABを使って実験データを解析する計測システムを構築した。 【電界強度の測定】 電界強度の測定と解析の手法を確立するために,まず,磁場反転配位プラズマ周辺での電界を検出するための装置を製作し,電界を作り出すプラズマ表面電荷密度の構造を考察するという実験研究を行った。この実験研究で最も重要な要素である電界計測装置の製作と解析手法の確立は,本研究課題の内容と密接に関係していることから,本研究課題における研究成果の一部として発表するとともに,米国の物理系の学術雑誌"Physics of Plasmas"に投稿した。
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