研究課題
本研究は、シリコンゲート絶縁膜の超薄膜化を背景に、膜厚数nm以下のシリコン絶縁膜形成中の表面反応素過程や反応速度を、原子レベルで明らかにすることを目的とする。このため、この分野では従来にない新しい実験手法「準大気圧リアルタイム光電子分光」を用いた。これにより従来では表面第一層に関する研究に限られていのが、絶縁膜数層分に対応するより現実的な半導体デバイスに近い膜厚領域まで実験が可能になった。以下に具体的な研究成果を述べる。1.si(lll)およびsi(loo)表面において、亜酸化窒素(N20)ガスを用いた酸窒化中にリアルタイム光電子分光測定を行い、初期酸窒化を調べた。従来N20ガスによる10-6Torr程度のガス圧では、反応がとても遅くまた窒化反応はほとんど生じなかった。そこで今回はガス圧を10-3Torr程度まで上げ測定を行った。その結果、N20ガスを気相励起することなく酸窒化膜を形成可能であることが明らかになった。また酸窒化反応は、600℃程度を境に低温では酸化が優勢で高温では窒化が優勢になることがわかった。基板面方位の依存性に関しては、Si(lll)に比べSi(100)で若干反応速度が大きいが、定性的にはほぼ同等の結果となった。2.酸化膜熱脱離反応に関し、昨年度に引き続きボイド形成機構について研究を行った。Si(loo)上の20nm酸化膜試料を真空加熱し生ずる熱分解脱離反応を、光電子分光・走査型電子顕微鏡・原子間力顕微鏡等を用いて調べた。ボイド形成後フッ酸により酸化膜を除去後表面を観察すると、ボイドがあった周上にシリコンの盛り上がり構造が形成されていることがわかった。この結果は、酸化膜が分解脱離するときに必要であるシリコンが、酸化膜と基板の界面からのみではなく、ボイドの壁面にシリコンが移動しそこからも供給され、酸化膜脱離反応が生じていることを示している。
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