研究概要 |
ユビキタス技術の促進に向けて,多機能で安価な移動端末用の半導体材料,特にガラス基板上SiとSiGe薄膜の形成技術を開発した。研究実施計画(1)~(3)に関して以下のような結果を得た。 (1)Si系半導体薄膜中欠陥の評価技術を確立 H21-22年度は,ラマン分光による欠陥評価について研究した。エキシマレーザ結晶化法により作成したpoly-Si膜では表面の荒れがラマン散乱強度を著しく増大させていることを立証した。H23年度は,poly-Si薄膜以外にも太陽電池用テクスチャ構造SiやポーラスSiに対して同様な効果が生じることを確認した。突起を持つSiに対して水素化処理すると,ラマン分光により欠陥が高感度で検出できるようになることを示した。その成果の一部を研究会で報告した。 (2)フロー状Si成長の特質を解明 H21-22年度にフロー状SiGeの成長に成功した。またH23年度にかけてTEM-EDX,EBSD等の手法を用いて擬似単結晶であることを証明した。さらに,擬似単結晶を再現性よく成長するためのレーザパワー,走査速度などの条件を求めた。これらの成果を研究会・学会・論文誌で報告した。また太陽電池関連研究会でも報告した。 (3)フロー状SiGeを用いた電子デバイスの試作 H22年度は従来構造の薄膜トランジスタ(TFT)を試作した。Nチャンネル型TFTに対して130cm^2/Vsの移動度を実現した。これはデバイスとして十分に通用する値である。H23年度には移動度を145cm^2/Vsまで増加させた。移動度の温度依存性を測定した結果,現状ではまだ材料としての限界に到達しておらず,十分に改善の余地があることが分かった。それらの成果を複数の学会で報告した。
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