研究概要 |
1. PL法によりMg-doped p型InGaN基板(In濃度10%)の青色発光増強に対するプラズマ処理の最適条件を探索した。 その結果、流量(水蒸気5sccm,水素30sccm)の条件で水蒸気+水素プラズマ処理を行うと、100℃, 200℃の低温ではas-grown状態でも存在した413nm付近の発光が増大しただけであった。しかし、処理温度300℃で水蒸気+水素プラズマ処理を80分間行うと,450nmにおけるDAP(ドナー・アクセプタ対)発光が最大約46倍増大した。また、処理温度100旨~300℃での水蒸気+水素プラズマ処理において、水素流量が多い方が発光の増大倍率は高くなった。これらの結果から、300℃、80分間の水蒸気+水素プラズマ処理が最適条件であると結論した。発光増大の要因としてはプラズマ処理により原子状水素が基板中に導入されたことで,非発光センターが不活性化されたと同時に水素関連ドナーが増加したためであると考えられる。 2. CL法によりInGaN基板の発光と結晶欠陥の評価を行った結果、200℃での水蒸気+水素プラズマ処理により370-450nmにおける発光が増大した。この時CL像には数10nm程度の微細な穴が基板表面に観測された。この微細な穴が発光増大に関与しているかどうかは不明である。一方、水蒸気+水素プラズマ処理により基板表面がエッチングざれることがわかった。結局、発光を増強あるいは阻害する要因として特定の結晶欠陥の役割を明確にするところまでは至らなかった。 3. ESR法によるInGaN基板の結晶欠陥を評価した結果、ダングリング・ボンドなど深い電子準位を持ち再結合センターとして働く結晶欠陥の存在は確認できなかった。
|