研究概要 |
1.BaF_2(111)およびInP(100)基板上へのスピンフィルタ型トンネル磁気接合(MTJ)の作製 BaF_2基板において平成22年度にわずかではあるが2段のヒステリシスが得られた膜((Ge,Mn)Te/GeTe/EuS/GeTeおよび(Ge,Mn)Te/GeTe/EuS/(Ge,Mn)Te)を素子化し磁気輸送特性の測定を行った。(Ge,Mn)Te/GeTe/EuS/GeTe構造において非線形なI-Vが得られたものの明瞭なスピンフィルタ効果は得られなかった。そこで、InP基板上への各単層膜の作製条件のさらなる検討およびGeTe/EuS/(Ge,Mn)Teスピンフィルタ構造の作製を試みた。その結果、サーマルクリーニング時のTe供給により表面状態が改善されることでEuSの結晶性が向上できることがわかった。この条件でGeTe/EuS/(Ge,Mn)Te構造を作製したところ、RHEED像がGeTe成長後のストリークからEuS成長後はスポットになったもののエピタキシャル成長に成功した。 2.GaAs基板上への(Ge,Mn)Teの成長 新たな基板としてGaAs(100)および(111)基板上への(Ge,Mn)Teのエピタキシャル成長を試みた。その結果、ZnTeをバッファー層とすることで(100)、(111)基板上ともにエピタキシャル成長に成功した。また、(Ge,Mn)Te/ZnTe/(Ge,Mn)Te構造においてトンネル電流を示す非線形なI-V特性を確認できたことから、EuS/(Ge,Mn)Te間の交換相互作用を切るための絶縁障壁として有望であることがわかった。
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