研究課題/領域番号 |
21560332
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
小柳 剛 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90178385)
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研究分担者 |
浅田 裕法 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70201887)
岸本 堅剛 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (50234216)
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キーワード | クラスレート / 熱電気的特性 / 磁気的特性 / ラットリング / RKKY相互作用 |
研究概要 |
熱電クラスレートに関しては、主に、Sn系クラスレートの研究を行った。アルカリ金属を内包させたK_8Ga_8Sn_<38>クラスレートを作製し、アルカリ土類金属内包Ba_8Ga_<16>Sn_<30>クラスレートと物性の比較を行った。K_8Ga_8Sn_<38>クラスレートはキャリア補償原子Gaの置換量が少ないことを反映して移動度が高く、Kイオンのラットリング運動がBa_8Ga_<16>Sn_<30>クラスレートと異なることにより、熱伝導率が高いことを明らかにした。 また、Sn系クラスレート化合物で、Snのホストサイトに欠陥を有するK_8Sn_<44>□_2クラスレートと,タイプIII K_4Ba_2Sn_<25>クラスレートを世界で初めて合成し、その熱電気的特性を明らかにした。 磁性クラスレートに関しては、タイプIII Ba_6Fe_xGa_yGe_<25-x-y>クラスレートのFeやGaの置換量を変化させた試料を作製し、いずれも強磁性を示す試料が得られた。この強磁性の起源としては、今のところ、Feとその他の構成元素で作られる化合物の磁性不純物とは考えられず、クラスレート相に起因するものと考えられる。Ba_6Fe_1Ga_yGe_<24-y>クラスレートに関しては、Gaの置換量を変化させて、キャリア密度を変化させることができ、そのキュリー温度がキャリア密度に依存して変化して、最大でT_c=270Kと、Geを母体とする化合物の中で、最もキュリー温度が高い値を示した。この磁気特性のキャリア密度依存性は、クラスレート結晶中でFe間の距離が遠く、Fe-Fe間の直接相互作用よりも、キャリアを媒介としたRKKY相互作用によるものと考えられる。 さらに、タイプI Ba_8Fe_xGa_yGe_<46-x-y>強磁性クラスレート化合物の作製を試み、クラスレート構造をもつ試料が得られることを確認した。 磁性クラスレートの薄膜に関しては、予備実験として、その母体であるタイプI Ba_8Ga_<16>Ge_<30>薄膜の作製をスパッタ法により試み、Si基板上にクラスレート構造の成長を確認した。
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