研究課題
無機ELの発光原理は、電界で加速された電子の衝突したエネルギーによって、無機蛍光体が励起される、いわゆるインパクト型の励起過程を取ることが知られている。一方、有機EL素子は電流注入型の素子でありキャリア注入による励起過程を経て発光に至る。すでに、申請者らは、青色、無機蛍光材料に対して、0.1wt%程度の極めて、微量な緑や赤の有機色素を加えることによって、このハイブリッドデバイスからの発光が、ほとんどすべて有機色素のみの発光になることを見出した。本年度は、無機蛍光体、有機色素、これらを混合した場合における、PL量子収率を比較検討し、これらの色変換は無機蛍光体の発光を励起光とした色変換が主であることを示した。また、有機-無機ハイブリッド無機蛍光材料と有機材料で著しく粒径が異なるために、発光輝度の面均一性において、ミクロンオーダーで見た場合、輝度分布が観測される場合がある。このため、2次元色彩輝度計を用いて、精細な輝度分布を調べた。また、トップエミッション構造に関連する検討は、基板に透明な材料を用いる制約がなくなるため、有機-無機ハイブリッドの分野においても重要な事項である。このため、構成材料である透明導電膜の代表であるITOをこれらのハイブリッドならびに単一材料でのデバイスに成膜する際のダメージの影響や発光材料の劣化についても調べ、その対策を示した。
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