研究課題/領域番号 |
21560338
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
會澤 康治 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40222450)
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研究分担者 |
得永 嘉昭 金沢工業大学, 工学部, 教授 (00072174)
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キーワード | スピンコート法 / 回転輻射乾燥法 / 強誘電体 / 蛍光体 / 積層構造 / 不揮発性メモリ / PVDF / TrFE / SBT:Eu |
研究概要 |
本研究では、蛍光体と強誘電体との積層構造を用いた光・電子融合型不揮発性メモリの実現を目指す。そのため平成21年度では、本研究で用いる強誘電体および蛍光体膜の形成実験を行った。具体的には、強誘電体にSrBi_2Ta_2O_9:SBTやPVDF/TrFEなどを、蛍光体にユウロピウム添加酸化SBT(SBT:Eu)を検討した。 本研究では、Pt膜付基板上に強誘電体および蛍光体膜をスピンコート法で形成するが、膜質が安定しないといった問題があった。そのため今年度は、従来のスピンコート法と比べて効率よく薄膜の形成できる回転輻射乾燥法を考案し、この方法で形成した薄膜の評価を行った。回転輻射乾燥法とは、スピンコート中のサンプル表面にランプ照射を行い、輻射熱(サンプル表面で90℃付近)によって溶媒を蒸発させることで、成膜工程の簡略化と膜質の向上を図る方法である。結果として、本方法を用いたPVDF膜は透明のIII型結晶であることが分かった。またPVDF/TrFE膜の形成では、残留分極量が0.7μC/cm^2の良好な分極特性を持つ膜ができた。SBTおよびSBT:Eu膜の形成では、熱処理温度を800℃にすることにより、均一な膜を作製できたが、良好な電気的特性を有する膜の形成には至らなかった。以上の結果より、回転輻射乾燥法はPVDFやPVDF/TrFE膜を形成する場合に有用であることを明らかにした。 本年度は、電子加速層に用いる硫化亜鉛(ZnS)膜のDCスパッタによる形成も試みた。不純物の混入を避けるため、既設のDCスパッタ装置とは別に新規のDCスパッタ装置と厚さ5mmのZnS焼結体を購入し、ZnS膜の形成実験を行った。具体的には、Arガスを用いてエミッション電流10~20mA、形成時間15~60分の条件で実験を行った。結果として、放電状態の問題が発生し所望の膜厚のZnSは形成できなかった。しかし、この問題は導電処理されたZnSターゲットで解決可能なことから、既設の実験装置を用いて導電処理したZnSターゲットを作製し、形成実験を継続して行う予定である。
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