研究概要 |
チタン酸アルカリビスマス系およびその変成系について、DC分極電界依存を測定することにより、強誘電体ドメイン配向の難易度を調べ、高圧電性に必要とされる要因を検討すると共に、ニオブ酸アルカリ系[PZTセラミックスの70%程度と比較的大きな圧電性(k_p=48%,d_<33>=307pC/N)が得られる組成(4)]とも比較した。 (Na_<0.5>Bi_<0.5>)TiO_3(NBT)を(K_<0.5>Bi_<0.5>)TiO_3(KBT)で(1)8mol%置換および(2)18mol%置換した試料、(3)NBTをBaTiO_3(BT)で7mol%置換した計3種類の円板試料(直径14mm,厚さ0.6mm)のDC分極電界依存を測定した。分極温度は(1)⇒70℃,(2)⇒100℃,(3)⇒70℃、分極時間は30分に固定し、DC分極電界強度Eを0→+4.0→0→-4.0→0→+4.0kV/mmと変化させ、それぞれのEでその誘電・圧電特性を測定した. (1)~(4)試料の電気機械結合定数(k_p)の分極電界依存より、(1)KBT8mol%置換試料ではk_pの極小値が得られるドメインクランピングの発生電界(E_d)が、(2)~(4)試料に比べ非常に高いことが分かった。一方、(2)KBT18mol%置換試料では、(1)KBT8mol%置換試料に比べ、KBT置換量の増加によって、E_dが小さくなった。更に、(2)試料の分極電界依存は、高圧電性が得られる(4)ニオブ酸アルカリ系をSrZrO_3で5mol%置換した試料(組成(4))の典型的なドメインクランピングを示す分極界依存に類似していた。以上のように、誘電・圧電特性の圧電分極電界依存の測定により、強誘電体ドメイン制御面から非鉛系での高圧電性に関する知見が得られた。
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