研究概要 |
我々はこれまで種々の圧電セラミックスでの【誘電・圧電特性のDC分極電界依存】を測定し、強誘電体ドメインの電界に対する挙動を明らかにしてきた。一方、最近、高周波超音波厚さ計により、DC分極処理の有無及びその程度によらず、縦波・横波速度を測定することにより、セラミックスの弾性定数を求める方法を開発した。この方法により、非鉛系圧電セラミックスの縦波・横波速度の組成依存、更に、ヤング率・ポアソン比の組成依存を調べた。 鉛・非鉛系を含む圧電セラミックスでは分極が進むと、試料組成によらず縦波速度V_L・横波速度V_sはそれぞれ上昇・降下した。ヤング率Y_11^E,ボアソン比δの組成依存から、(1)ニオブ酸アルカリ系(Na,K,Li,Ba)(Nb_<0.9>Ta_<0.1>)O_3-SrZrO_3,(2)チタン酸アルカリビスマス系(Na_<0.5>Bi_<0.5>)TiO_3-(K_<0.5>Bi_<0.5>)TiO_3[NBT-KBT]では高電気機械結合係数(高k)が得られる組成では、PZT系でのMPB付近(低Y_<11>E・高δ)と同様の傾向を示すが、(1)系の高k組成での相転移は報告されていない。一方、(3)チタン酸アルカリビスマスーチタン酸バリウム系NBT-BaTiO_3では高k組成は高Y_<11>E・高δで、更に、MPBの存在が確認されている。(2)系で圧電歪d_<33>定数160pC/Nが得られた(4)0.79NBT-0.2KBTへ1 mol% Bi(Fe_<0.5>Ti_<0.5>)O_3[BFT]添加組成では、BFTが無添加の0.82NBT-0.18KBTに比べ高Y_<11>^E低σとなる。更に、(1),(2)系ではドメインクランピング、即ち、圧電性が極小になる電界でMax.Y_<11>^E、Min.δが得られ、PZT系と同様であったが、(3),(4)系ではMin,Y_<11>E^Min.δとなった。一方、圧電性の上昇はPZT系も含めた(1)~(4)の総ての組成でδの増加に対応していた。
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