作成したII-VI族ベースのMn系磁性半導体膜の設計指針に基づいて、光吸収端波長が405nmの紫色半導体レーザ(紫色LD)まで対応できる膜を開発することを目的とする。ファラデー回転の強化は基本的に、Mn^<2+>イオンの3d電子とバンド電子とのsp-d交換相互作用による励起子準位の大きなゼーマン効果によるので、A^<II>B^<VI>用KセルとMnB^<VI>用Kセルの蒸発温度を種々試しながら、高いMn含有の膜を作成し、ファラデー回転特性を向上させることを目指した。ZnMnTeとZnMnSeの透過率(透明度)とファラデー回転の波長依存性を(スペクトル)検討してきたが、両者のそれら特性は明確に波長域が異なり、ZnMnTe膜は緑色LDに良く合うことを見出した。また、擬四元のZnMnCoTeを作成し、ファラデー回転特性の強化向上を試みているがまだMnの含有率が低く、CdMnCoTeで確認済みのMnとCoの相乗効果による特性向上がZnMnCoTeでは確認できていない状況である。ZnMnSeについては、青色LDに波長が整合するよう調整できる可能性を持っていることが分かったので、さらに利用可能波長域の検討(スペクトルの検討)を進める。なお、2010年度はZnMnTeあるいはZnMnCoTeの超格子膜を作成し、かねてより強い興味のあるフォトルミネッセンス効果とその磁界依存性(磁界による制御性)を調べ、新しい磁気光センサの可能性をあわせて検討したい。
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