II-VI族ベースのMn系磁性半導体膜の設計指針に基づいて、可視短波長領域に対応できる光磁性膜を開発することを目的とする。ファラデー回転の強化は基本的に、Mn^<2+>イオンの3d電子とバンド電子とのsp-d交換相互作用による励起子準位の大きなゼーマン効果によるので、A^<II>B^<VI>用KセルとMnB^<VI>用Kセルの蒸発温度を種々試しながら、高いMn含有の膜を作成し、ファラデー回転特性を向上させることを目指した。ZnMnTeとZnMnSeの透過率(透明度)とファラデー回転の波長依存性を検討してきたが、両者の特性は明確に波長域(スペクトル)が異なり、ZnMnTe膜は緑色LDに良く合うことを見出した。また、擬四元のZnMnCoTeを作成し、ファラデー回転特性の強化向上を試みた。しかし、CdMnCoTeで確認済みのMnとCoの相乗効果による特性向上が、ZnMnCoTeでは確認できていない。ZnMnSeは、青色LDに波長が整合する可能性を持っていることが分かったので、さらに利用可能波長域の検討進めたい。なお昨年度に引き続いて、2011年度も、ZnMnTeあるいはZnMnCoTeの超格子膜の作成、またかねてより強い興味のあるフォトルミネッセンス効果とその磁界依存性(磁界による制御性)を調べ、新しい磁気光センサの可能性を検討したい。 すなわち、量子効果を実験的にさらに検討し、高性能の素子開発に繋げる研究を引き続き実施する。Zn_<1-x>Mn_xTeについて、その超格子膜を作成してそのフォトルミネッセンス効果を評価し、ルミネッセンス効果を利用する、新方式の光磁気センサについて、その実現可能性の検討を続ける。
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