本研究の目的は、Zn_<1-x>Mn_xSeあるいは禁制帯幅がZn_<1-x>Mn_xSeとZn_<1-x>Mn_xSの間に位置する(Zn_<1-x>Mn_x)_<0.5>(Se_<1-y>S_y)_<0.5>5について、青色475nmに対する膜の光磁気特性の有効性を確認しつつ、新しい組成を含むそれらの磁性半導体膜開発を進め、これまでわれわれが蓄積した緑~青色波長域でのII-VI族磁性半導体膜の研究成果を活用し、光波長を短波長側に広げた利用可能域及び量子効果の検討から、高性能素子の開発に繋げる研究を実施すること、またさらにZn_<1-x>Mn_xTeについて超格子膜を作成してフォトルミネッセンス効果を検討し、フォトルミネッセンス効果を利用する新方式の光磁気センサの実現可能性を探ることにある。最終年度の23年度の研究では主に研究の総括を行うが、実施事項として次のことを掲げた。(1)高周波磁界パルス用光磁気センサ開発総括、(2)青色~紫色短波長用超格子膜の作成と量子効果研究の総括、(3)フォトルミネッセンス効果形新方式光磁気センサ開発の検討、(4)研究成果発表、(5)当年度の総括。その結果、(1)と(2)の高周波磁界パルス用光磁気センサ開発及び青色短波長用膜の作成・検討考察は実施をほぼ終えて、実現可能性に関する実験データを蓄積することが出来た。しかし、上述のZnMnSe膜とZnMnS膜の作成の際に用いたMnSe、MnS化合物がクヌーセン・セルを用いた場合に、昇華温度の低いSeやSが成長室内に大量に昇華(Se)または飛散(S)し、イオンポンプや電源を損傷するなどの事故が起こったため、原因究明とその修理のため長期にわたり実験を休むことになった。現在MBE装置は故障から回復しつつある。また、実験計画を検討し準備を進めてきたZn_<1-x>Mn_xTe超格子膜のフォトルミネッセンス効果の研究は、膜作成とPL測定装置について、現在具体的に進みつつある。
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