研究課題
GHz帯の周波数帯域で動作する電磁波吸収材料の一つに、酸化物マトリックス中に数[nm]~数十[nm]の金属微粒子が分散した構造を有する金属-酸化物グラニュラ薄膜がある。この薄膜の作製にはスパッタ法などによる物理的成膜法が一般的に用いられるが、本研究では、新規に開発した化学的手法である金属-絶縁物同時無電解析出法という手法を用いて,金属-酸化物、金属-高分子のコンポジット薄膜の水溶液中からの作製に取り組んだ。その結果、DMABを還元剤として利用することで、Co-Ce-O、Co-epoxyの無電解析出に成功した。Coが金属状態で析出するには、グリシンをCoに対する錯化剤として添加する必要であることを電位-pH図の作成により明らかにした。溶液中のCo濃度を変化させることで、膜中のCo濃度が制御できることも分かった。さらに、DMABが多いと過剰なOH-が発生し、pHが上昇してしまうため、DMABの濃度と溶液の初期pHの値が、反応液が安定した状態に保つためには重要であることが分かった。Co-Ce-O薄膜については、ICPによる測定より、薄膜中に、CoとCe以外に、BやSも共析していることが明らかになった。DMAB=8[mM]においてCo_<72>B_<12>Ce_<4.7>O_<9.3>S_2のCo含有量の高い組成を示ず薄膜が得られた。この薄膜は、X線回折の結果からアモルファス状態になっていると考えられる。Co-epoxy薄膜については、epoxyの析出をFT-IRにより確認でき、金属と高分子が共析する薄膜の無電解析出に初めて成功した。以上のように、本研究により、Co含有量の高い、Co-Ce-O薄膜やCo-epoxyの無電解による析出に成功した。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (11件) 備考 (1件)
電気学会論文誌C
巻: 131 ページ: 1843-1847
http://fujitalab.elec.nara-k.ac.jp/