研究課題
超伝導体中では磁束が量子化され、その磁束量子は電流を流すことによりローレンツ力を受けて、移動することが知られている(Kim et al.Rev.Mod.Phys.36(1964)43)。近年、その磁束量子の移動が整流作用を示す、ラチェット効果が発見された(Silva et al.Nature 440(2006)651)。本研究はくさび形の試料を用い、走査SQUID(superconducting quantum interference device)顕微鏡(SSM}によって実空間で一本一本の磁束量子を実空間で直接観察することにより、ラチェット効果による磁束量子の整流作用に本質的に必要な起源を明らかにしようとするものである。平成23年度は引き続きイットリウム系超伝導体の粒界接合付近における磁束の直接観察を行い、また超伝導遮蔽電流との相互作用の直接観察を行った。23年度は、22年度に特許出願した手法を用いることにより、SSMを用いて試料薄膜中の電流を局所的に観測しながら磁束量子を観察することが可能となった。また、試料作製のための薄膜作製手法として、塩化カリウムを用いて準平衡下でのビスマス系超伝導薄膜作製を試みた。この結果、粒界接合への磁束量子の侵入の直接観察を行うことができた。塩化カリウムを用いた薄膜作製法は研究途上であり、従来法に比べ膜質はまだ不十分ではあるが、相対的に良好な薄膜を作製するための焼成方法やアニール条件等が得られた。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Prodeedings of the materials research society
ページ: 1368:mrss11-1368-ww11-10