研究概要 |
フォトニック結晶ファイバ(PCF)の低損失化が進められている現在,PCFを伝送用ファイバに用いることも検討が進められている.その際には,種々のファイバデバイスもPCFで作製することが望ましい.本研究では,炭酸ガスレーザ照射を用いて高機能なPCFデバイスを作製することを目的としている.平成22年度の研究成果を以下に示す.PCFカプラについては偏波保持PCFを用いたカプラ作製を試み,テーパ部の空孔の有無によりカプラの特性が変化することを見出した.空孔を残した場合は偏波分離特性が得られ,空孔を消失させた場合は偏波無依存結合特性が得られることを実証した.PCF光減衰器については,空孔径制御により得られる空孔率と減衰量の関係を実験的に調べ,空孔率を小さくするにしたがって大きな減衰量が得られることを実証した.作製したPCF光減衰器における減衰量の波長依存性は小さかったが,空孔率が小さくなる(i.e.減衰量が大きくなる)につれて波長による減衰量の変化が大きくなることが明らかとなった.このことから,減衰量が大きく波長依存性の低い光減衰器を作製するためには,それに適したPCF構造の設計が必要となることが示された.炭酸ガスレーザ照射による空孔径制御を用いたPCFと従来の光ファイバとの接続損失低減については,ビーム伝搬法を用いた数値解析を行うことで空孔径制御による接続損失低減量を理論的に求め,実験結果とよく一致することを示すとともに,その有効性を実証した,この手法はすでに報告されているアーク放電による方法に比べて空孔径制御部を長くすることが容易であるため,放射損の低減にも有効である.
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