研究概要 |
H21年度は炭素薄膜を電子ビーム蒸着法により堆積することに注力した。蒸着源にHOPG(Highly Oriented Poly Graphite),及びアモルファスカーボンを用いた場合、いずれも0.1Åの低レートで蒸着が可能であることが分かった。電気的測定の結果から、少なくとも膜厚10Å以上で連続した膜を堆積出来る事が確認できた。膜質はas-depositedで高抵抗なアモルファスカーボンである。熱処理によって結晶化が進み導電性を示した。700℃の熱処理で炭素膜のシート抵抗が極小値となった。 金属/炭素薄膜界面の接触はTi,Ni共にオーミック特性を示した。金属/炭素薄膜/GaN,AlGaN/GaN HEMT構造では整流特性を示しNi電極での障壁高さは0.525eVであった。電流-電圧特性に金属の仕事関数依存性がみられ、炭素薄膜のバンド構造が金属に近いものであると推測された。 一方、デバイス特性の評価においては、AlGaN/GaN HEMTのチャネル近傍に炭素が存在する場合、電流コラプスへの影響を測定した。炭素はGaN層の高抵抗化を実現するが。電流コラプスを増大させるという結果を得た。今後はさらにこのデバイスを炭素で表面保護し同様な評価を進める。これらの結果を、応用物理学会講演会、International Conference Nitride Semiconductors-8(ICNS-8)で報告した。
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