研究概要 |
H22年度はグラフェン膜をGaN基板上に転写法で堆積することに注力した。SiC基板を真空中で加熱し表面にグラフェン膜が形成された試料にTi薄膜、およびPMMA膜を形成しグラフェン膜を引きはがした。その後、グラフェン膜をn-GaN基板上に圧着し、Ti,及びPMMA膜を除去することにより、世界で初めてGaN上転写に成功した。ラマン分光法測定により、転写されたグラフェンの厚さは1-2原子層であり、良好な膜質が得られた。転写されたグラフェン膜の大きさは50μm大であり、簡易的な膜評価、素子形成が可能なレベルに達した。 この結果を受けて、Ni電極を蒸着し、Ni/グラフェン/n-GaN構造のショットキーダイオードを作製した。Niとn-GaN界面にグラフェンが挿入されることによりエネルギー障壁高さが0.38eVも低下した。この結果は低接触抵抗オーミック電極を形成できる可能性を示すものである。 この結果をグラフェンで初めての国際会議であるグラフェン2011(スペイン・ビルバオ4月11-14日)に投稿し、採択された。 また、継続して行っている金属/半導体の光電評価、炭素原子がGaN結晶中で形成する欠陥についても応用物理学会講演会、SiC及び関連ワイドギャップ研究会で研究成果の発表を行った。高濃度にドーピングされた電極界面でも光応答法が有効に障壁高さを評価できることが分かり、グラフェン/GaN界面にも応用する予定である。
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