研究課題
H23年度はグラフェン膜転写の大面積化、電極形成の量産化、加工技術の確立に注力した。(1)大面積化:従来法に加えて、結晶性が良好なキッシュグラファイトを剥離しGaN上に転写する方法も検討した。粘着シートで簡易的にグラフェンがキッシュグラファイトから剥離できるという利点があるが、転写される面積が50μm大であり、本検討にはこの手法は適さないことが判明した。従来法ではPMMAをベーク中に気泡が入り、大面積転写を妨げることが問題になっていた。そこで、PMMの代わりにフォトレジストを用いて低温でベークを行うことにより、この問題を解決した。最大2x4mmのグラフェン膜をSiCから剥離することに成功した。(2)電極形成の量産化:昨年度までは転写されたグラフェンに狙いをつけて、アルミ箔にピンホールを設け、電極を蒸着していた。この手法では1つのドメインに1-2個の電極しか形成できず、面積も大きい。そこで、直径100μmの径の小さな電極を密に並べたメタルマスクを用いて蒸着を行った。この結果、10個程度の電極が同一ドメインに形成できた。(3)加工技術:この結果、酸素プラズマによるグラフェン膜の除去をラマン測定だけでなく、電極間の電気的特性を測定することにより評価が可能となった。電流-電圧特性、容量測定において、1分間の酸素プラズマ処理で電極間の分離が確認された。この結果を平成23年度電気関係学会北陸支部連合大会で発表し、優秀発表賞を受賞した。また、継続して行っている金属/半導体の光電評価、炭素原子がGaN結晶中で形成する欠陥についても応用物理学会講演会、SiC及び関連ワイドギャップ研究会、国内外の国際学会で研究成果の発表を行った。p-GaN表面のストイキオメトリー、ドライエッチングによるダメージが電極に影響を及ぼすことが分かり、電極界面へのグラフェン挿入を適応する価値がある系であると考えられる。
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Japanese Journal of Applied Physics(JJAP)
巻: vol51 ページ: 04DF04-1,-4
DOI:10.1143/JJAP.51.04DF04