研究概要 |
平面型メタマテリアルの特性をマイクロ波領域で検討し,媒質を構成する粒子を含む単位セル構造や粒子の形状について新しく考案し,入射波の偏波方向に依存せずに遮断特性を示すメタマテリアルを実現した. まず誘電体基板の表裏面に金属ストリップを並べた帯域阻止特性をもつ板状媒質についてその動作原理を明らかにした.基板の表面に縦方向に並んだ長方形の金属ストリップは,ストリップに平行な電界に対して金属ストリップの持つインダクタンスとストリップ間のキャパシタンスにより電気的共振が起こる.またストリップに垂直な磁界に対して表裏の金属ストリップ間で磁気的共振が起こる.二つの共振モードを持つ媒質の等価的誘電率及び透磁率を調べると,誘電率あるいは透磁率が負となるシングルネガティブ領域が出来ており,このため媒質内は非伝搬になると解釈できる.この人工媒質の偏波依存性を取り除くためには,金属ストリップが軸対称な形である必要がある.x軸に平行なストリップをx軸方向に並べ,加えてy軸に平行なストリップをy軸方向に並べて媒質を構城した.この媒質は,x軸方向,y軸方向,さらにはこれらの軸に対して45度の傾きを持つ方向に偏波した平面波を遮断する特性を持つ.透過波が18%の比帯域において20dB以上減衰する特性が得られた.次に軸対称な十字型の金属ストリップをx軸方向及びy軸方向に並べた媒質を提案した.この媒質は粒子幅に関して自由度が高く,またインピーダンスが低いため,大きな減衰が得られる.その遮断特性は22%の比帯域で,減衰量は30dB以上である.さらに基板の誘電率を下げることで遮断周波数の外側に通過域を持つ人工媒質を示した.基板の誘電率を下げて通過域を作っているため,減衰量が下がるが,それでも十字型ストリップを用いているため,偏波依存性がなく16%の比帯域で20dB以上の減衰が得られている. 以上の構造の遮断特性を持つ人工媒質を設計,試作しその特性を確認した.
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