研究概要 |
媒質表面に周期的に並んだ金属ストリップの幅方向に平行な磁界成分を持つTM波が入射したとき、並んだ金属ストリップによる等価誘電率に影響する共振モードの周波数が入射角度に依存して変化する問題があったが、金属ストリップ間に磁界と平行な方向に金属細線を入れることで周波数の変化が抑えられることをマイクロ波領域で試作、測定して確認した。これにより入射角度により阻止特性周波数が変わってしまう問題が解決され、安定した阻止特性が得られる。また昨年までは単位素子を向かい合った金属ストリップ2枚で構成していたが、3枚のストリップで構成することで共振モードの数が一個増えて特性の改善が期待出来る。実際に計算したところ、波を入射させたときに現れる共振電磁界分布は固有モードの電磁界分布から形が崩れており予想していた特性とは異なるものであったが、ストリップの形を変形し単位素子中にできるインダクタンスやキャパシタンスの大きさを調整して、3種類の共振モードの周波数を適切に配置して阻止帯域を設計できるようになった。これにより昨年度に得られた特性より減衰量は20dB増加し、あるいは2倍の阻止帯域の実現が可能となり、高性能な阻止特性が得られることを示した。 赤外領域では,遮断特性を明らかにするためにサイズの異なる単層パターンを作製し、シミュレーションとの比較を行った。その結果、シミュレーションに比べかなりブロードではあるが構造パラメータを反映した遮断特性を得た。各構造におけるピーク位置は、シミュレーション結果とほぼ一致した。また、重ね合わせ露光法による平行導体粒子構造の作製に成功し、これまで行ってきた裏面露光法に比べ、良好なパターン形状を得た。
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