本研究では、環境(温度)変動、ばらつき、経年変化等の新たな技術課題を克服して、特に高い信頼性を持つ車載/ロボット駆動用パワーIC、各種センサーIC LSIを提供する新しい設計手法の構築とそれを適用した性能実証用回路の試作・評価を3ヵ年間で行う。本研究の基本構想は次の通りである:(1)上記の知的クラスター(第2期)創成事業の研究において自動算出が可能となった動作マージン値を性能指標として評価関数化する。(2)動作マージン算出には、素子劣化も考慮する。(3)ある与えられた回路の設計マージンを最大化するために最適なアルゴリズム(例えば最急降下法など)を見出し、各回路パラメータ定数の自動最適化を行う。この素子ばらつきや経年務化を考慮して回路定数を自動的に探索・最適化する新たな設計手法の構築は、従来のマージン確認型の設計法を見直す画期的なもので、本研究成果によれば、設計者は、回路形状の検討や、使用するデバイスの選択に集中できるようになり生産性を大きく向上することができる。またデバイス設計者にとっても、回路性能を実現する上で望ましいデバイス性能の探索に利用することができ、次世代の製造プロセスの開発にフィードバックすることができる。本研究の成果は、近い将来のLSI設計の主流技術の一つとなるものと考えられる。H21年度は、アナログ基本回路であるオペアンプ回路とリング型発振器をターゲットに、パラメータの最適化を行う回路設計法の構築を行った。その手法の実証のために、VDEC(東京大学大規模集積システム設計教育研究センター)を利用したLSIの試作を行っている
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