3次元画像情報の構築の研究については、半遮蔽の少ない3次元画像情報から立体像を実時間で表示するためのハードウェア構成を検討した。 微小光素子に関する研究では、SU-8ポリマーをベースとした光素子の設計と製作を通じて、以下のように、ポリマーの特色を生かした作製プロセスの開発や、新たな素子構造の考案と作製技術の向上に資する結果を得た。 (1)レジスト材料(LOR)を犠牲層として中空構造を形成する作製プロセスにより、回折格子型光変調素子の作製を進めた。23年度はパターン表示ための分割電極型素子の試作と静電駆動用電極の作製を行った。 (2)平成22年度に確立した、クラッドをPAK-O1、コアをSU-8とする回折格子付きスラブ(1次元光閉じ込め)光導波路の作製法を発展させて、回折格子付きリッジ型(2次元光閉じ込め)光導波路の作製法を確立した。色素(R6G)ドープSU-8をこの光導波路のコアとしてDFBレーザーを作製し、光励起によるレーザー発振を確認した。 (3)屈折率(約1.3)が低いフッ化物系ポリマーのCYTOPをクラッドとしSU-8をコアとする、光閉じ込めの良い導波路構造を考案し、熱光学効果を利用したマッハツェーンダ型光変調素子を設計・試作した。この作製プロセスとして、ナノインプリントでCYTOP膜に形成した溝にSU-8を充填して光導波路とする方法を考案・試作した。さらに、CYTOP膜上に加熱用クロム電極の形成を試みている。 (4)ナノインプリントでCYTOP膜に形成した溝にEu-A1グリシジル溶液(5w%)を充填し、紫外線励起によるVSL法により、約8dB/cmの光利得を確認した。Eu-AlドープSU-8を連続発振用レーザー媒質として利用するためには、Eu-Alを高濃度(5~10w%以上)にドープして光利得の向上を図る必要がある。 (5)CYTOPとSU-8を組み合わせた2層光導波路構造の積層型ポリマーマイクロリング光共振器を設計・製作し、1.5μm帯での設計通りの波長フィルタ特性を確認した。2層光導波路構造の作製にあたっては、耐熱性と耐化学薬品性と兼ね備えたCYTOPの特性に着目して考案した、ナノインプリントとフォトリソグラフィの併用プロセスを採用した。
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