本研究の目的である、小型・軽量なテラヘルツ波発生・検出モジュールの開発を進め、以下の成果を得た。 (1)導波管入力型SBD 前年度新たに試作したSBDを導波管入力モジュールに実装して特性評価を行った結果、SBDモジュールは約350GHzに感度のピークを持つことがわかった。またこの結果は解析計算と良い一致を示した。さらに、ピーク周波数(350GHz)における検出感度は、InP系のSBDで報告されているものとしてこれまでの最高値が得られた。 (2)サブミリ波イメージングへの適用 開発した「小型テラヘルツ波発生・検出モジュール」の反射型イメージングへの適用を検討した。まず、モジュールの特性を評価するため、標準試料として金属板スリットを用いたイメージングを行い、共振周波数からのずれと解像度との関係を解析した結果、予想とは異なり約40GHzと広い周波数範囲において実用的な解像度が得られることを見出した。またこの特性は、本研究で開発した平面型サーキュレーターの特性に起因していることを確認した。これらの結果を元に、周波数270GHzにおいて人体(指)の生体(in-vivo)イメージングを行い、良好なサブテラヘルツ波画像が取得できることを実証した。さらに、得られた画像の解析から、生体を構成する材質の違いが画像上のコントラストとして識別可能であることも確認した。これらの結果は、本研究で開発したモジュールが、生体に対する反射型サブテラヘルツイメージングに充分適用可能であることを示しており、本研究の目標を達成することができた。
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