研究概要 |
ディスプレイパネルに要求されるGaN(窒化ガリウム)系発光素子は、大面積に配置することが必要であることが不可欠であると共に,大幅な低価格化が要求される.そこで、本研究では、集積化LEDを用いたプレーナー型micro-LED arrayの製作を提案している.通常LEDは、発光層(活性層)とその周辺(クラッド層)との屈折率差により、薄膜構造と平行に導波される光成分が大きい.これは、各発光素子間の干渉につながる.そこで、屈折率的に3次元である発光層の製作について分子線エピタキシャル成長(MBE)装置を用いてIn拡散による方法で検討した.イオンインプランテーションと比較して低コスト製作が期待できたが,GaN薄膜製作前にInを蒸着した場合にはGaInNの形成が確認できたがGaN表面からの拡散はうまくいかなかった.そこで,GaInNもしくはInNによる数分子層発光層を採用した弱導波路構造の採用を検討した.また,素子の基本的な構造を製作し、将来の集積化への問題点を探すことを目的GaNの結晶成長電極形成などの検討を行った.プレーナー型micro-LEDの基本的な素子構造としてショットキー型構造に着目して検討を行った結果,発光ダイオードが形成できることはこれまでに報告してきたが,Alフェースパック法を用いた表面改質により,低コストに素子特性向上が行えることがわかった.また,この形状の場合,基板面を光出射方向とすると内部吸収により,発光効率が非常に低下することがわかったので,紫外透明電極としてMgZnO(酸化マグネシウム,酸化亜鉛混晶)薄膜を提案し,その製作を行った.その結果,MgZnOにおけるMg組成が10%程度以上にすると,GaN系発光ダイオード370nmの発光に対して透明になることがわかった.GaN系発光素子に搭載し,電流・電圧特性を測定したところ,比較的良好な特性が得られた.しかしながら,若干の逆方向特性の低下が観測された.MgZnO層のさらなる低抵抗化とともに溶液法による電極形成プロセスについての検討が今後必要と考える.
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