平成21年では、貫通基板加工技術及び電極形成技術と高感度なホール磁気センサー用のエピ薄膜の構造及びエッチング・ボンディング技術を検討した。センサーモジュールを実現するため、貫通電極用基板加工技術が必須である。われわれは実験室レベルで簡単かつ低コストの貫通穴の加工と電極形成技術を検討した。サンドブラストミリング技術を用いて、大きさ22mm×24mm、厚さ0.3mmの基板上に直径0.2mm貫通穴を短時間で形成することができた。また、スパッタ技術を用いて、基板の両面に金属電極(Cr-Al-Cr-Au)を形成し、貫通電極ができた。電極の抵抗は約0.13Ωであった。貫通電極基板の信頼性を確認するため、弾性波電子デバイスの実装へ応用し、その有効性を確認できた。これをもって、次年度センサーモジュールの基板に活用する予定である。一方、磁気センサーの感度を向上するために、キャリアの移動度が速いAlGaAsヘテロ構造を有する半導体フィルムが適している。しかし、われわれが提案している犠牲層エッチング手法では、犠牲層はAlAsを使うため、AlとGaの比率を決めることは重要なパラメータである。薄膜ボンディング実験の検討結果として、Al_<0.3>Ga_<0.7>Asの薄膜なら、犠牲層エッチングの選択比が問題なく剥離とボンディングすることができた。さらに、3次元センサーとしてのバリエーションとして、単層薄膜ではなく、2層薄膜構造も考えられる。実験として、n+GaAs/nGaAs/n+GaAs/n+GaAs/nGaAs/n+GaAs/AlAsのような薄膜構造を設計し、犠牲層エッチングとボンディングを行い、成功した。
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