H22年では、主に3次元磁気センサー用エビ薄膜を基板上にボンディングし、作製プロセス技術を用いて、2種類プレーナー構造の3次元磁気センサーを作製し、特性を評価した。作製プロセス条件に関して、下部電極の厚さの最適値は20nm~30nm範囲であった。これによって、オーミックコンタクトの熱処理や後続のウェットエッチングプロセスは問題なくできた。試作デバイスに関して、3軸座標と同じ配置のパターンAとT字型配置のパターンBを設計した。センサー部の大きさはそれぞれx軸が6μm×30μm×3μm、y軸も30μm×6μm×3μm、z軸が30μmx30μm×3μmであった。バイアス電流は5mAで、印加した磁束密度は0~17mT変化するとき、それぞれの方向センサーのホール電圧はほぼ線形的に変化している。直線関数でフィッティングすると、相関はほぼ0.999であった。また、17mTの磁束密度をかけ、バイアス電流を1mA~5mA変えて、ホール電圧を測定した。電流変化に対するホール電圧の線形性が得られた。パターンAのセンサー感度に関して、それぞれx軸が0.3Ω/Gで、y軸が0.4Ω/Gで、z軸が0.9Ω/Gであった。一方、パターンBの場合、原理上3軸方向に流れるバイアス電流が異なるため、感度の差はもっと大きなる。将来センサーアレイを形成する観点から、パターンAは配線が多くて、個々のセンサー寸法が大きく、空間的な分解能が少し低下する。それに対して、パターンBは配線が簡単、個々のセンサーサイズが小さくて、空間的な分解能が確保できる。また、試作センサー感度より信号処理回路のスペックを確定した。
|