H23年では、主に磁気センサーアレイの作製技術とセンサーアレイの計測技術を検討した。センサーアレイの作製に関して、GaAsエピ薄膜を用いて、3軸座標と同じような配置で、3軸ホールセンサーをSi基板上に作製した。作製プロセス条件について、ボンディング薄膜によるGaAs薄膜エッチングの不均一性を改善するために、多重エッチングプロセスを施した。結果的にきれいなエッチングパターンが得られた。また、アレイパターンに関して、実験結果より電流バイアス端子を共通し、電圧の片側端子も共通にするように設計した。そして、五つセンサーからなるセンサーアレイを作製し、センサーの基本特性を測定した。センサー感度が単独のものより低い。センサー間のバラつきは1%以内に抑えることができた。一方、複数個センサーによる計測技術について、汎用な計測システムLABVIEWを活用し、実現した。LABVIEWを使用することによって、特別な計測プログラムを作成せずに、サンプルの磁気感度に合わせて測定条件を設定することができた。今回五つのセンサーを使用する計測プログラムを構築した。バイアス電流は数十mA~数十μAまで設定でき、電圧は数十mV~数十μVまで測定できた。対応できる磁束密度の範囲は約数百μT~数十mTであった。また、測定条件の設定や測定結果の表示もパソコン画面でアイコンクリックだけ操作できるようになり、非常に使いやすくなった。測定できるチャンネル数は現在1キットで24個となる。コスト面に関して、通常の同種類の計測機器よりやすいけれども、商品化レベルとしてちょっと高いので今後改善の余地がある。
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