研究概要 |
1. マイクロマグネティック数値解析シミュレーション手法の妥当性の検証 磁気記録の諸現象はサブナノ秒,サブナノメートルの領域で起こる.そのため実験によるソフトウェアの検証は不可能である.今年度は複数のマイクロマグネティック手法(ダイナミック解析および準定常解析)による相互検証を続け,自作のソフトウェア,ウィーン工科大学が公開しているMAGPAR,および富士通が開発したソフトウェアの3種による結果を比較し,2011年7月シドニーで開催されるCompumagにて発表予定である(採録済み). 2. 次世代垂直磁気記録用ライトヘッドの提案 次世代磁気記録ヘッドにおける軟磁性裏打層の必要性をまとめ,その結果を,国際会議(PMRC 2010)にて招待講演を行った.また,次世代磁気記録方式の候補である熱アシスト磁気記録,マイクロ波アシスト記録,シングル磁気記録およびビットパターン媒体に用いる記録ヘッド構造を提案し,論文および国際会議論文にて共著発表した. 3. 計算システムの高速化 高速スイッチングハブを介して2台以上のPCを接続するシステムでは,高速化を実現し得なかった.一方,SMP(Symmetric Multiprocessing)機による高速化を論文としてまとめた.本補助金からは離れるが48コア計算機を導入し,モデルが大きいほど並列化効率がよくなり3000万セル程度のモデルのダイナミック計算が2-3日で処理可能であることを報告した(第19回MAGDAコンファレンスin札幌).複数CPUによるシステムによらず,GPU(Graphic Processing Unit)を用いて従来の約8倍の速度を得た.ただし,巨大な計算機メモリーが必要なライトヘッド計算には,今後のGPU搭載メモリーの高密度化が待たれる.
|