研究概要 |
光線空間データに対する圧縮センシング(Compressed Sensing)の例として,これまで申請者らが提案したRadon変換に基づく光線空間取得法について検討を継続した.これまでのカメラが直線配置のものに加え,円形に配置した場合にこれまでの知見がそのまま利用できるための条件を考察した. 今年度はさらに,4次元光線空間のうちで視差軸と空間軸とを2軸とする断面の画像の性質を検討した.これは,エピポーラ平面画像と呼ばれる画像と等価となるが,この画像において圧縮センシングを考える際に要請されるスパース性がどの程度満たされるかが問題となる.そこで,エピポーラ平面画像を多次元ベクトル空間と考えたときに,これを張る基底について研究を行った.画像符号化の分野で変換符号化に使われる離散コサイン変換(DCT)や離散ウェーブレット変換(DWT),さらに性能の最大値を評価する指標として利用されるカルーネン・レーベ変換(KLT)で用いられる基底を基本とし,これらのタップ長や空間的方向性を付与したさまざまな基底を用意し,これらを用いてエピポーラ平面画像を再構成する実験を行った.その結果,方向付けサンプリングを行って得られる基底,すなわち空間的な方向性を有した基底を使った場合に,再構成の性能の向上が見られることを確認した.このことは,今回新たに検討した基底のもとで,エピポーラ平面画像がスパースであることを示していると考えられる.
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