研究概要 |
本研究では、農産物の育成管理を自動化するための低消費電力な無線センサネットワークプロトコルを開発することを目指している。開発するプロトコルは、複数の物理量(pH、土壌水分、土壌温度、電気伝導度(EC))の相関特性に着目して制御する。要素技術として、グルーピング(クラスタリング)アルゴリズム、および各グループ内のON/OFFスケジューリング法(スリープ制御)の開発を進めている。今年度はまず,観測対象とする物理量の空間相関特性から得られる二つの集約モデルを構築した。一つは,研究室内に配置した22台のセンサノードで観測される温度と照度,および気象庁で提供されている2009年度の都道府県の気温,湿度,風速について,それぞれ結合エントロピーを計算し,ノード数に対するエントロピー増加量を指数近似した指数型集約モデルである。もう一つは,一定の差分情報のみの送信を想定した線形集約モデルである。次に,これら集約モデルを用いて,クラスタ内ノードの協調間欠送信スケジューリング法を開発した。空間相関特性に基づいてクラスタを構築しているため,各ノードの観測データ間には高い相関があり,集約効果によってデータ送信回数を半減させることができた。さらに,高い集約効果を得られるトポロジーについても探索した。完全集約を仮定すると,できるだけホップ数を大きくしたChain型トポロジーを採用した方が,消費電力削減効果は高い。そうでない場合は,集約率に応じて消費電力を最小とするようなホップ数とクラスタ数が存在することが示された。一方,さらなる省電力化を目指し,予測センシングのシステム開発を進めている。これは,各センサノードに簡易な予測メモリを搭載し観測データの予測を行うことで冗長なデータ送信の削減を図るものである。以上について,現在、屋外実験システムの構築を進めているところである。
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