研究概要 |
ネットワーク符号化における誤り訂正符号の復号法に関して、以下のように研究を行った。 1. 復号法の検討:ネットワーク符号化では、送信されたベクトルにより伝送経路が異なるため、受信ベクトルにより、含まれる誤りに差がある。また、演算がなされるため、誤りが独立ではない。そこで、所謂バタフライネットワークをはじめ、いくつかの基本的なネットワーク構造について、各エッジは2元対称通信路であるとして、最適(最尤)復号のアルゴリズムを考案した。また、いくつかの準最適復号法も検討した。例えば、2つの符号語が送信されたときに、独立の復号するのではなく、経路の短い方(誤りが少ない)を復号し、そこでの訂正を考慮して、他方の符号語を復号する方法などである。加法的白色ガウス通信路の場合についても、考察を加え、最適化するために中間ノードが送るべき軟値ベクトルを検討した。 2. 考案した復号法の性能評価:考案した復号アルゴリズムについて、復号アルゴリズムを実現するプログラムを作成し、シミュレーションにより性能評価を行った。また、各受信語毎に独立に復号する方法についても性能評価を行い、提案アルゴリズムの優位性を評価した。具体的には、符号長64以下のリード・マラー符号をはじめ、いくつかの符号について評価を行った。例えば、符号として符号長64の2次リード・マラー符号を用い、多数決復号法を基本復号法とした場合に,通信路のビット誤り率が10^<-3>の場合に、前述の準最適復号法で、誤り率について1割程度の改善がみられた。
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