1. 復号法の検討:前年度に考案した最尤復号法について、ソフトウェアによる実現方法を検討し、再帰的最尤復号法として実装を行った。また、各受信語の復号に最尤復号を用いた準最適復号法としていくつかの方法のクラスを考案し、そのクラスに属する復号法を網羅的に列挙した。準最尤復号については一般的なネットワークのトポロジに基づいており、最尤復号も一般のトポロジへの拡張は可能である。 2. 復号法の性能評価:ネットワークのノード間の通信路が2元対称通信路であるとして、上述の復号法について、符号長16や32のリード・マラー符号や拡大BCH符号を用い、いくつかの代表的なネットワークのトポロジに対して、シミュレーションにより評価を行った。ネットワークのトポロジにも依存するが、準最尤復号法の中に、最適にかなり近いものがあることを確認した。さらに、復号時に誤り検出のみとした場合の誤り見逃し確率が2重重み分布(bi-weight distribution)を用いて表すことができることを示し、式を導出した。具体的な符号に対してこの式を評価した結果、誤り見逃し確率が通信路のビット誤り率の増加に対して、単調でないことがわかった。また、その理由についても検討し、ほとんどの場合に単調でないことがわかった。 3. 線形ベクトル空間を符号語とする符号の重み構造の解析:線形ベクトル空間を符号語とする符号に対して、符号の重み構造の計算アルゴリズムの基本構造を考案し、いくつかの計算量削減法について検討し、性能評価の準備に着手した。
|