研究概要 |
ネットワーク符号化において各通信路が2元対称通信路であり、送信データを2元線形符号により符号化して、受信ノード(シンクノード)で誤り訂正を行う場合について以下の通り検討した。まず、送信符号語が3つ以上の場合に、多重重み分布と復号誤り確率の関係を明らかにした。次に、線形符号の2重あるいはそれ以上の多重重み分布(結合重み分布とも呼ばれる)について、双対符号の多重重み分布から計算するための方法を検討した。2重の場合は、調査の結果、既知であることがわかった。3重以上の一般の場合について、通常の重み分布に対するマックウィリアムズの等式を利用して、計算式を導出した。また、この計算式を用いて計算する場合の具体的かつ単純な計算アルゴリズムを導出した。そのアルゴリズムの計算量について評価を行った結果、ハミング符号など高符号化率の符号については、時間計算量より空間計算量が問題となりうるが、3重重み分布であれば、符号長64程度までは計算できることがわかった。 線形ベクトル空間A,Bを符号語とする符号の場合は、2つの符号語間距離は、dim(A∩B)で定義される。線形性をもつ符号については、距離分布の代わりにこの距離に対応する重み分布を考えることができる。一般の符号の重み分布の計算には、全ての符号語それぞれについてその重みを計算する必要があるが、符号の構造を利用して、重みを計算する必要のある符号語数を減らすことを検討し、いくつかの結果を得た。
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